ぼくは、マサチューセッツ州のチェスナッツ・ヒルという場所にあるボストン・カレッジという大学に通っている。留学以前、どこ行くのかと聞かれると、ボストンに行きますボストンに行きますと吹聴していたけれど、厳密にはボストンではなくチェスナッツ・ヒルという市。ボストンのダウンタウンまでは電車で20分くらいだから、気軽に出かけられる距離ではある。また、単科大学を意味するカレッジという名前ではあるけれどもそうではなくて、早稲田大学のように学部がいくつかある普通の総合大学。ボストンカレッジ、ボストンにはないし、カレッジでもない。

 

周りは大きなお屋敷が立ち並ぶ高級住宅街で、アメリカンドリームという感じ。よく手入れされた庭と、ガレージの中のフォード。少し歩くと貯水池がある。この学校はアメリカでも学費が高いことで有名らしく、学費と寮費(実家から通っている人はほぼいない。少なくとも僕は会った事がない)合わせて60000ドル以上する。1年で600万円以上。みな奨学金をもらっているのだと思うけれども、それでもまだお金はたくさんかかる。こんな多額のお金を払えるご家庭の分布は、アメリカ北東部の裕福な白人家庭がほとんどということになる。実際在校生と会うと、ニューヨークやコネチカットニュージャージーなど北東部出身という人が多い。もちろん、サンフランシスコやロサンゼルス出身という人もいないわけではないけれど、多くはない。

 

だから学校には白人がたくさんいる。他のアメリカの大学からここに移ってきた友達は、その白人の割合にびっくりしていた。授業のクラスでも8割が白人で、1人や2人黒人がいて、他はいわゆるABC(アメリカン-ボーン-チャイニーズのそれぞれ頭文字をとったもの)といった両親やそのルーツはアジアだけれども、生まれも育ちもアメリカという人ばかり。

 

そんなわけで、“移民の国”・“自由の国”アメリカという国にいながら、アウトサイダーのような気持ちになる。肌の色で人を区別するなんて本当におかしいけれど、人種によってなんだか肩身の狭い気持ちになることもある。そして、周りを見回してみるとやはり白人は白人で固まるし、黒人は黒人で固まるし、アジア人はアジア人で固まる。かくいう僕もアジア人の友達がほとんど。やっぱりメンタリティー的に近いものがあるし、安心感がある。でもせっかくだから様々なバックグラウンドをもった人とたくさん知り合いたいと思う。世界中に友達を作って、将来世界を旅するときに各地に住む友達を訪ねていくのは楽しいだろうなと思う。